【新章配信】鮮やかで色褪せた夢うつつの町へ。死なない女の子による儚くも痛快なデンシ・グラフィックノベル「ghostpia(ゴーストピア)」

ghostpia レビュー ▲ノイズが掛かったバンド・デシネ調の世界。

深い夜。ほろびの真ん中。わたしたちは寄り添う――

『ghostpia(ゴーストピア)』は元学生サークル「超水道」の4人によりクラウドファンディングで約60万円の調達を達成した“デンシ・グラフィックノベル”だ。
手書き絵に砂嵐のノイズを加えたようなグラフィックに漫画的な表現とジャズ調の儚いサウンドを合わせ、独自の世界を表現。
完全無料だから広告挿入は一切無く、作品への没入性に特化した読み物ゲームとなっているぞ。

閉塞した町で繰り広がるフシギの物語

ghostpia レビュー ▲死ぬとゴミ捨場のような場所へ。周りは無限の雪原。
雪に閉ざされ、誰も抜け出せない終着駅の町。
ここで暮らす人々はみんな死んでも死なない不老不死であることから“幽霊の理想郷”と呼ばれていた。
アパートで100年近く引きこもる黒髪の少女「小夜子」は、新入りのルームメイト「ヨル」と出会ったことで生活が一変。
忘れてしまった「大切な何か」を思い出すため、少女たちは白き砂漠の踏破を夢見て、あるかもわからない故郷に思いを馳せる。

やっときた!年に1回あるかないか待望のアプデ!

ghostpia レビュー
2014年から公開されているアプリ版にて最新章となる「第4話」が追加実装された。新たな重要キャラの登場で物語は更に深まっていく。
「Nintendo Switch」へグレードアップ版が移植されることも決定! もちろんアプリ版は今後も無料で続きを配信していくとのこと。
海外進出も予定中らしくスマホ発のオリジナルノベルとしては異例の躍進を見せている。

『ghostpia』は暗いのに楽しくて、女の子たちの輝きが美しい。

ghostpia レビュー ▲普段は元気な子が、時々すごく憂いを帯びた顔をする。
長年Android一筋だった筆者にとってiOS専用アプリは雲の上の存在だった。中でもイチバン遊びたいと思っていたのが本作である。吸い込まれるような空気感に一目惚れ。
初iPadを購入した日にゃソッコーで遊んだが、影のあるアンニュイな世界はビジュアル・ストーリー共々にイマジネーションを刺激しまくりで代え難いゲーム体験となった。
場面に合わせた数百枚のイラスト予想の裏側を付く演出によってスルスルと読み進めてしまう。指を止めさせないライブ感が圧倒的。
モノローグは全て「小夜子」の一人称視点として綴られ、心の中で余計に口走ってしまうような内面描写も絶妙。他人との距離、偏見、嫌悪感など生々しいくらいに気持ちが伝わってくる。

どうしようもない世界で精一杯生きる姿が痛快

ghostpia レビュー ▲幼女に銃を突きつけながら肉を食う極悪ニンジャの図。
前述した“静的な世界観”を粉々に打ち砕く“動的なカタルシス”が詰まっているのも魅力的で、こっちの気分まで晴れやかにしてくれる。
「小夜子」は超めんどくさがり屋だけど行動力があり、変わりのない平穏な日常に風穴を空けるような大イベントを次々と巻き起こす。
仲間内で「うんち」扱いされ、思わぬ体術を披露し、銃を持ち出して大人数相手に立ち回り。不死身幽霊だからとムチャクチャで明るいシーンが多く、シュールと感じるぐらいだ。

「続きを待つ」のではなく「まだ終わらない」嬉しさ

ghostpia レビュー ▲映像の乱れを演出としている。
物語の上で重要なポイントを伏線として放置するのも特徴で、世界の成り立ちから人物の過去。あらゆる謎を残したままストーリーは進む。
一章毎に区切りよく終わってボリュームも満足だけど、また続きが見れるって途切れぬオタノシミ感は連載長編ならではの良さ。
彼女を含めて周りの人々も少しづつ変わっていく中、幽霊たちのささやかな冒険はどこへ向かうのだろうか。

ゲームの流れ

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主人公「小夜子」はたったひとりの異邦人。ぼーっとした自分を歯がゆく思っている。
独白部分は観念的で少しまわりくどいけど人間味があり、不快感は無い。
再レビューにあたってAndroidでもプレイ可能になっていたのを知ってビックリしたなぁ。
 
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100年近く会っていなかった旧友と再開し、とある事件にて青髪の「ヨル」と生活を始める。
台詞はどうぶつの森風のポポポ音によって表され、レトロなノイズ演出との相性がバツグン。
今更だがキャラクターも魅力的で普段表に出せない身勝手さを隠していたりと感情を移入しやすい。
 
ghostpia レビュー
展開については冷静に考えると勢いが強すぎてオカシイ箇所もある気がするけど、プレイ中は微塵も感じない。
テンポの良い漫画感覚な表現がデカイのだろう。大胆なシーンを納得させる直感的イラストや演出によりエンタメ性を増している。
 
ghostpia レビュー
メインとなる2人にも注目。人によっては百合カップルという意見もある。
しかし人間とは違う生活なのでより深い所で結びついており、一言で済ませたくないような関係を築いている。
 
ghostpia レビュー
我々とは違う世界線だが、どこか懐かしい情景を映し出すシーンも。これは何を意味するのだろうか。
物語の続きは是非アナタの目で確かめてくれ!(お約束)

『ghostpia』序盤攻略のコツ。

ghostpia レビュー ▲実はプラットフォーム毎に導入部分が違うぞ。
ゲームとしては選択肢のない一本道の読み物系だからタップして読み進めるだけ。それだけなのにずっと心を揺さぶられてしまう。
自動セーブ機能付きなので途中で止めてもオッケーだけど、章を丸ごと読み切るように遊ぶのがベスト。1章分は1時間強ぐらいかな。

特殊コマンドを使って快適に遊ぼう

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・2本指でタップすると栞で任意セーブ
・3本指で押し続けるとスキップ早送り
・上から下にスワイプすると過去ログが見れる

上記以外は短タップでの文字送りだけ。困ったら右上の「TOP Menu」ボタンからタイトルへ戻ってみよう。

Androidで遊ぶ場合は注意が必要

「- movie & trial -」のボタンから各章を遊べるが、一度ページを落としてしまうと途中保存データが消える。
とはいえ最初からチャプターが全開放されているので直近のシーンから選んで見直すことも可能。特に心配する必要はない。

Source: 【新章配信】鮮やかで色褪せた夢うつつの町へ。死なない女の子による儚くも痛快なデンシ・グラフィックノベル「ghostpia(ゴーストピア)」

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